あんまり合わないんじゃないか

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タバコをやめて、たぶん10年ぐらいになる。たばこ吸い出したのは20歳の時。18歳で働き出してから酒を飲んだりしていたし、法律を特別守ろうという意識があったわけじゃなかったけど、もう大人だしおおっぴらに吸えるなら吸ってみようかなと思った。

タバコを吸って、酒を飲むのが大人の基本だと思い込んでいた。一人暮らしを始めてからは、弱いくせに家でも毎日酒を飲み、ひたすらタバコを吸った。ふかすタイプじゃなくて、強く吸い込まないと気が済まないタイプだったからあまり良くなかった。酒は飲み続けたが強くなる事はなく、飲みに行けば最初の一杯で顔を真っ赤にさせて人をびっくりさせつづけた。

今思えば恥ずかしいが、どうすれば自分を大きく見せられるかという若さゆえの背伸びがあった。でもその中には、人は変わっていかなければいけないという本能のようなものもあるんじゃないかと僕は思う。人は恥ずかしい事を通過しなければ成長できない部分があるような気がしている。なるべく間違いをしないように生きるのは、それはそれで間違いだ。

今ではタバコは吸いたいとは思わない。酒はたまには飲むけど、普段はあまり飲まない。自分にはそれほど必要じゃない、というか自分にはあんまり合わないんじゃないか、ということが少しずつわかってきたからだ。

人は自分に合わないことを思い込みで続けてしまうことがある。合わないと思ったことにさえ、しがみつきたくなることがある。認めるのはつらいこともあるけど、変化するには自分を上書きする勇気が必要だ。

とは言え、色々な職場での喫煙所での雑談も悪いものではなかった。仕事の合間の喫煙所の雰囲気はちょっと他では味わえないもののような気がする。

派遣社員をやっていた時は、おそらく正社員の人たちにとって派遣社員というのはどこかお客様という感じだった。そういう時の喫煙所では、正社員の人とはどこか第三者的な立場で話を聞くことができた。上司に怒られていた若手の人は、「いつも何か怒られるんですけど、いつも納得いかないんですよね」と言った。

ところで、組織や集団っていうのは中に入ってみないとわからないことが多い。それとは逆に、中に入っていると気づかない、外から見ないとわからないこともある。今思えば、派遣社員というのは中と外の中間っていう立ち位置で、なんだか特殊な経験だった。

休憩時間に屋上に行って、缶コーヒーを飲みながらタバコを吸っていた自分はどこへ行ってしまったんだろうと、時々思う。それはそれで悪くはなかったんだけど。